研究大会

第23回 イベント学会研究大会

 2020年度、第23回研究大会は、新型コロナ感染症の拡大という誰にも予見しえない事態を受け、大阪開催の当初予定を変更し、東京、名古屋、大阪の3会場に分散しての開催となりました。さらに、この3つの会場をリアルタイムで接続するとともに、オンライン参加も可能となるよう、最先端の情報通信技術(インターネットクラウド)の活用にも挑戦しました。

 全体テーマは「コロナ禍への危機対応と、ウィズ&ポスト・コロナ時代のイベントロジーの展望」と設定しました。コロナ禍により新たな生活様式が要請されるなか、イベントはどのような危機対応を行ってきたのか。ウィズ&ポスト・コロナ時代にイベントはどのような役割を果たすのか。京都大学前総長の山極壽一様、早稲田大学教授の原田宗彦様に基調講演をいただくとともに、東京会場では東日本地区本部が、名古屋会場では中部地区本部が、大阪会場では西日本地区本部が主体となり、それぞれにユニークな「テーマフォーラム」を企画、編成し、地区別の交流会も実施しました。また(一社)日本イベント産業振興協会の穂苅専務理事からは、イベント学会と日本イベント産業振興協会が共同で国に提出した要望について報告もいただきました。さらに二日目には、イベント学会のzoomアカウントを活用し、完全オンラインで学会員による研究発表(口頭発表)を行いました。

 各地区本部による魅力的なテーマフォーラムの組成と学会員等への参加勧誘、そしてオンライン参加を取り入れたことにより、大会への参加登録者は155名に到達、招待者、関係者、メディア等を含めた当日参加者は190名を超えました。これは近年の研究大会を大きく上回る成果であり、リアルサイトとオンラインをつなぐ新たな研究大会、新たなイベントのスタイルを模索する実証実験としても大きな成果を得られたものと考えております。

 一方、特にオンライン放送において、一部聞きにくいところや、チャンネルの案内に間違いがあったことは大きな反省点と捉えています。オンラインからの参加者の皆様にはここに改めて深くお詫び申し上げます。

 大会の冒頭、中村会長からは「イベントは新たな時代を創造する」という当学会の基本的な理念についてお話をいただきました。ウィズ&ポスト・コロナの時代、私たちイベント学会はますます重要な使命を担うものと考えております。

 この大会を契機として、すでに新たな研究活動、学術交流活動も企画されているようです。来年度は大阪にて、2025年大阪・関西万博をメインテーマとした研究大会を開催することも計画されています。かつてない規模の発表者、参加者を得て開催したこの歴史的な研究大会が、学会員による研究活動、学術交流活動の活性化に、そしてウィズ&ポスト・コロナの時代のイベントロジーのさらなる発展につながることを願って止みません。

 第23回研究大会の実現に尽力いただいた共催団体の皆様、会長、副会長以下学会理事の皆様、実行委員会の皆様、各地区本部の皆様、事務局の皆様、そして全ての学会員の皆様に深く感謝申し上げます。

2020年11月

第23回研究大会実行委員会
委員長 福井昌平

開催概要

日時 2020年11月7日(土)・8日(日)
会場 東京・名古屋・大阪の3会場+インターネットクラウド
  • 東京会場:東京ポートシティ竹芝 ポートスタジオ
    (東京都港区海岸1-20-3/最大収容60名程度)
  • 名古屋会場:THE TOWER HOTEL NAGOYA バンケットルーム
    (愛知県名古屋市中区錦3丁目6−15/最大収容35名程度)
  • 大阪会場:ホテルソビアル なんば大国町2Fホール
    (大阪市浪速区敷津西 2-2-5/最大収容 40 名程度)
テーマ コロナ禍への危機対応と、ウィズ&ポストコロナ時代におけるイベントロジーの展望
実行委員長福井昌平(イベント学会理事・副会長)
プログラム内容 1日目:基調講演、地区別「テーマフォーラム」、統括報告
2日目:学会員による研究発表
参加費 会場参加、オンライン参加とも同一の参加費とする。
地区別交流会参加費別途。
会員:5,000円(共催/後援団体会員含む)
一般:7,000円
学生・大学院生:3,000円
主催 イベント学会
共催 一般社団法人 日本イベント産業振興会
一般社団法人 日本イベント協会
日本イベント業務管理士協会

プログラムの特色

基調講演者として、山極壽一氏と原田宗彦氏を招聘

ウィズ&ポスト・コロナ時代の人間社会を考えるうえで重要な視点を提供し、広く注目を集めている京都大学前総長の山極壽一氏、早稲田大学の原田宗彦氏を招聘、それぞれから基調講演をいただきます。講演後には当学会会長、中村利雄による質疑応答と特別対話も予定しております。

東京・名古屋・大阪で、それぞれの地区の特色を生かした「テーマフォーラム」を開催

分散会場+インターネット・クラウドという今年度の大会特性を生かし、東京、名古屋、大阪、それぞれの会場で個別のテーマをもった地区別フォーラムを開催します。オンラインからの参加者は、各自の興味に応じ、さまざまな地区の「テーマフォーラム」を行き来することも可能です。

会員による研究発表は完全オンラインにて実施

学会員にとって貴重な研究発表の場となっている口頭発表については、今年度は完全オンラインにて開催します。座長による進行、質疑応答なども導入し、研究業績として記載可能な発表形態を整えます。

プログラム内容

11月7日(土):基調講演、地区別フォーラム、統括報告

09:30〜 開場・受付開始
10:00〜 開会宣言
10:05~12:00 基調講演
・基調講演①「人間とコミュニケーション」山極壽一京都大学前総長
・基調講演②「人間とスポーツ」原田宗彦早稲田大学教授
12:00~13:00 昼食休憩
13:00〜13:20 報告「イベント産業のコロナ禍への対応」(日本イベント産業振興協会)
13:20~16:00 地区別「テーマフォーラム」
・東京「専門分野から見たウィズ&ポスト・コロナ時代のイベントの可能性と実践手法の考察」
・名古屋「愛・地球的イベント力によるSDGs共創」
・大阪「万博の価値と形の変容探求〜バンパクノカタチ」
16:00~16:30 総括報告
17:00〜 地区別交流会(任意)

11月8日(日):学会員による研究発表

9:30〜 開場・受付開始
10:00~10:10 オリエンテーション(研究発表の進め方)
10:10~12:30 研究発表
登録者数、登録発表分野等により、発表ジャンル別構成を検討
12:30〜 閉会挨拶

口頭発表内容

■発表時間割

ルーム1 座長:野川春夫 ルーム2 座長:上代圭子
10:00~ 開会挨拶:福井昌平
10:05~ オリエンテーション:守屋慎一郎
10:15~ 師岡文男
『世界レジャー会議2026大会』の
日本招致プロジェクトの意義
田村匡
地域内GDPに注目した都市経営についての研究
10:35~ 小松史郎
ウィズ&ポスト・コロナ時代における
スタジアム・アリーナイベントの展望
杉本洋文
木造都市を目指す!!
10:55~ 長谷川洋一
東北復興宇宙ミッション2021
吉原さちえ
海外研修航海の継承~恒常性と独創性に着眼して~
11:15~ 浜田真悟
東京オリンピック2020に失望することなく
ポリグロットで若者の祭典、老若男女の交流を
川井徳子
人類史・神話から振り返る未来
~コロナ禍が人類に与えるメッセージ
11:35~ 終了挨拶:福井昌平

■発表要旨

【ルーム1 10:15~ 座長:野川春夫】

『世界レジャー会議2026大会』の日本招致プロジェクトの意義
師岡文男/イベント学会理事 上智大学名誉教授
(共同研究者)福井昌平

イベント学会『東北復興博覧会研究会』で検討したレジャーやレクリエーションに関する国際的MICE事業開催の代表として、研究を重ねてきた『世界レジャー会議2026大会』の日本招致の意義と招致の可能性について、世界レジャー会議が発表した最新の『2026大会招致要綱』から読み解く。


【ルーム1 10:35~ 座長:野川春夫】

ウィズ&ポスト・コロナ時代におけるスタジアム・アリーナイベントの展望 (論文PDFはこちら
小松史郎/集客都市研究所
(共同研究者)岩崎博/SCプラニング・オフィス

2020年初めに突然始まった新型コロナウィルス感染症の拡大は、オリンピックをはじめとするスポーツイベントやエンターティメントイベントの延期や中止などの危機的状況をもたらした。この状況はイベント業界のみならず社会的にも深刻な影響を及ぼしているばかりではなく、大型イベントの存在価値そのものが問われる事態まで及んでいると考えざるをえない。
これに対して大型イベントの開催の場であるスタジアム・アリーナにおいては、社会的要請を受けて三密を避けソーシャルディススタンスを確保するためのような様々な対応を講じてきたが、今なお厳しい経営状況が続いており、かつ将来に対する確かな展望が抱けない状況にある。
本研究は、最初にコロナ感染症の拡大期であるウィズ・コロナ期における最近のスポーツおよびエンタメ業界の最新状況を見た上で、ワクチンや治療薬等が普及し一定の落ち着きを見せるポスト・コロナ期においてスタジアム・アリーナイベントがどうなっていくのかを、今回のコロナ禍を機に目覚ましい発展を見せているDX技術を活用したデジタルイベントの動向も踏まえて展望するとともに、大型イベントの存在価値そのものを再確認することを目指すものある。


【ルーム1 10:55~ 座長:野川春夫

東北復興宇宙ミッション2021 論文PDFはこちら
長谷川洋一/一般財団法人ワンアース
(共同研究者)福井昌平

東日本大震災から10年を迎える2021年3月11日に、国際宇宙ステーションから世界に向けて、これまでの復興支援への感謝のメッセージを発信する準備が進んでいる。この宇宙ミッションの舞台裏と、心の復興、広域交流・地域産業創成等、次代へ繋がる波及効果を報告する。


【ルーム1 11:15~ 座長:野川春夫

東京オリンピック2020に失望することなく
ポリグロットで若者の祭典、老若男女の交流を
 (論文PDFはこちら
浜田真悟/シナリオ25

東京オリンピック2020に失望することなくポリグロットで若者の祭典、老若男女の交流を。ポリグロット活動がイベントロジーにおけるビフォー・アフターとなるるという提案です。


【ルーム2 10:15~ 座長:上代圭子】

地域内GDPに注目した都市経営についての研究 (論文PDFはこちら
田村匡/大阪成蹊大学

イベントや観光等の政策効果は地域におけるGDPや生産額の増加を主とした経済(波及)効果により測定される。RESAS等の地域統計を活用した都市経営手法等についての研究を紹介する。


【ルーム2 10:35~ 座長:上代圭子】

木造都市を目指す! (論文PDFはこちら
杉本洋文/元東海大学教授、(株)計画・環境建築代表、NPOアーバンデザイン研究体理事長

■木造都市の記憶
日本の都市は非木造建築で埋め尽くさレている。しかし、戦前までの都市は木造建築によって構成された風景が広がり、戦前までは木造都市であった。歴史都市にはその記憶が残されている。
日本は地震・台風などの自然災害、火災や戦災などの人的災害も多発している。木造都市の更新は地域の自然資源を活用し、何度となく繰り返されてきた。
産業革命を機に、建築素材が木材から鉄とコンクリートに代わり、都市の非木造化が進むことになった。特に関東大震災と戦災によって都市の不燃化は政策的に推進された。

■都市の均質化と身体性の喪失
近代都市計画は、安心・安全、健康な環境、機能性、効率性などの経済合理性が求められ、都市建築は工業化やシステム化が進み、さらにアルミやプラスチックなどが加わりることによって人工のフェイク素材で埋め尽くされた。都市建築は無機質化や表層化が進み、都市空間は均質化が進み個性を失ってしまった。

■個の最適化からの全体最適
都市は、身近な都市空間から都市全体に対して、人間と建築、建築と都市、都市と環境の関係において、身体性をともなう環境づくりが求められ、予定調和でなく、毎日がクリエーションに溢れ、新たな発見が連続的に発生するようなワークスタイルやライフスタイルを実現する、人間が豊かで快適に暮らせる都市づくりが求められる。

■木造都市へ
地球環境時代では「木造都市」がふさわしく、そのためには「都市木造」を増やし、「木づかい」による新しいまちづくりのムーブメントを起こし、都市施設の木造プロジェクトによって、オールジャパンとグローバルな視点から、木造都市としての持続可能な「まちづくりデザイン戦略」を構築する必要がある。
最新の国内外の事例を紹介しながら「都市木造」のムーブメントを紹介する。


【ルーム2 10:55~ 座長:上代圭子】

海外研修航海の継承~恒常性と独創性に着眼して~ (論文PDFはこちら
吉原さちえ/東海大学

東海大学は国内で唯一調査船であり国際航海旅客船でもある「望星丸」という海洋調査研修船を所有する。「望星丸」は調査研究の実践と未来に拓けた教育を提供し、その一つに海外研修航海という実践教育の場がある。本研修航海は1968年3月に第1回航海を実施して以来2019年2月に節目の第50回を迎え、2019年度(2020年2月実施予定、COVID-19の影響で中止)の実習は半世紀の歴史を踏まえ新たな一歩を踏み出す51回目としての役目があった。過去においては1996年に世界一周航海を成し遂げ、この研修航海を通して訪問した地は70か所に上る。これまで参加した研修学生は4034名、団役員(教職員)は683名である。この航海の特徴は、東海大学傘下の大学・短期大学生が学部学科の枠を越えて、船という限られた生活環境に集い、大自然の中で多くのことを学び、各寄港地では現地大学等と国際交流を図り、国際的視野を広げるユニークな実践教育の場である。しかしコロナ禍において2019年度に引き続き、2020年度の海外研修航海は中止が決定され、2021年度以降の研修航海の実施は不確定の状況である。本研修は研修学生と団役員の経験者が実習そのものの「継承」の中心を担ってきたと言っても過言ではない。この2年間またはそれ以上のブランク後、海外研修航海を継承していくために何が必要かを「恒常性」と「独自性」をキーワードを手掛かりに本研究では検討・検証する。


【ルーム2 11:15~ 座長:上代圭子】

人類史・神話から振り返る未来 ~コロナ禍が人類に与えるメッセージ (論文PDFはこちら
川井徳子/ノブレスグループ

コロナ禍によって人類は新しい生活様式、行動の変容に迫られている。
感染した患者やウイルスと戦う医療関係者だけでなく、生活様式の変化は社会全体におよんでいる。
産業界にも多大な影響が出て、大恐慌以来の経済収縮が起き、中でもイベントや観光といった都市のサービス産業は甚大な被害を受けている。

IMFも世界銀行も各国政府に経済危機に対応するため、財政出動を積極的に行うよう警鐘をならしており、感染防止と経済縮小のバランスを取ること、失われた需要をどのように回復するかといったことが世界的に大きなテーマとなりつつある。

コロナ以前から人類は地球温暖化防止などSDGsを軸に協調し、行動変化を促してきたが、今後、それが加速する可能性は高い。
世界最大のイベントである万博を五年後に迎える大阪・関西は、こういった課題に対して解決のモデルを世界に提示する機会でもある。
本研究は、Afterコロナにおける持続維持可能性の社会モデルについて「人類史から謙虚に学ぶ」ための一つの試論としたい。

参加登録方法

参加登録フォーム にアクセスし、必要事項を記入し、送信してください。
受信後、事務局より参加費の支払い方法等を記載した確認メールを配信いたします。

参加登録締め切り:10月23日(金) 終了しました。

参加費のお支払い

参加費は確認メールの案内に従い、2020年10月30日(金)までにご入金ください。入金確認後、オンライン会場のURLとパスワードを配信いたします。

※個人情報の取扱いについて
申し込みに際していただいた個人情報は、イベント学会の活動報告やイベント学会ニュースなどの情報提供に利用させていただく場合がございます。法令等により開示を求められた場合を除き、個人情報をご本人の同意なしに第三者に提供することはありません。

問い合わせ:イベント学会事務局(日本イベント産業振興協会事務局内)03-5215-1680
担当:内田 info_info@eventology.org 
事務局は非常勤体制のため留守番電話の対応となります。お急ぎでのお問い合わせはメールにてお願いいたします。

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名古屋会場(中部地区)フライヤー
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